Derek Bailey ： Carpal Tunnel

#DerekBailey ： Carpal Tunnel
Label : Tzadik – TZ 7612
Format : 1CD, Album
Country : US
Released : 2005
○新品未開封

○亡くなった2005年にリリースされ遺作となった。録音はバルセロナ。
冒頭の ”Explanation & Thanks” は ”Carol” （＊1）と呼びかけることから始まる音声レターで、”desultory and inaccurate（散漫で不正確）”である演奏をあらかじめ詫び、医師に”毛根管症候群（感覚障害、しびれ、握力低下、運指の不自由）”と診断されて手術を勧められたが手術はせず、ピックを持てなくなった手で弾くのも新しい表現になるんじゃないか” と説明しながらピックを使わない右手での演奏をしている。(＊2: 彼のピックは歯科用アクリルを使った自作、貝殻、小石などもあった、”Solo Vol.2”のジャケットのピック）
2曲目は ”After 3 Weeks”。以降は診断数週後ずつのタイトルがつけられている。
単純な指使いにブルース感のある語りが1曲目。2曲目はバンジョーのような音色混じりで1音ずつ確かめるような静かな演奏。3曲目から最終曲までは音色の変化や長短の持続音、フィードバックによる残響などのヴァリエーションが徐々に増え、同時に力強さも増していく。
5曲目 ”9 Weeks" に”シャー”音があるのはおそらくスピーカーを使用したフィードバックのノイズ。

○タイトルが病状名で曲名が進行状況を思わすだけにややこしいが、ここに記録されているのは「次第に動かなくなっていく手による衰え」ではなく、進行する病状を補う以上に力強さを増していった演奏と奏法。

＊1:奥方は"KarenBookman"。”Carol”が誰かは不明。

参考
＊2 : 遺品展示会を伝えるBBCニュース
https://www.bbc.com/news/uk-england-leeds-66606701
・Matthew Murphyによるレビュー
https://pitchfork.com/reviews/albums/532-carpal-tunnel/

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